「インプレゾンビ」とは、X(旧Twitter)上でインプレッション(閲覧数)を稼ぐために無意味なリプライやコピー投稿を繰り返すアカウントを指す日本の俗称です。このような行為は、2023年8月に導入されたXの「クリエイター広告収益分配プログラム」に便乗して収益を得ることを目的としています。以下で、インプレゾンビがどの程度稼げているのか、具体的なデータや推定に基づいて解説します。
インプレゾンビの収益モデル
Xの収益分配プログラムでは、Xプレミアム(有料プラン)に加入し、一定の条件(例:フォロワー500人以上、過去3か月で500万インプレッションなど)を満たしたユーザーが、投稿のインプレッションに基づく広告収益の一部を受け取れます。ただし、2024年11月以降、収益計算は単なるインプレッション数だけでなく、検証済み(プレミアム)ユーザーのエンゲージメント(いいね、リプライ、ブックマークなど)に重点が置かれるようになりました(、)。
インプレゾンビは、人気投稿のリプライ欄に無関係なコメントやコピーコンテンツを投稿し、バズった投稿に便乗してインプレッションを稼ぐ手法を取ります。しかし、収益性については以下の要因が影響します:
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インプレッション単価(CPM): 1000インプレッションあたり0.002~0.0133ドル(約0.29~1.94円、1ドル=145円換算)。
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エンゲージメントの質: 無意味なリプライはエンゲージメントが低く、収益効率が悪い。
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プログラム変更の影響: 2024年11月以降、リプライ欄の広告表示は収益対象外となり、インプレゾンビの収益機会が大幅に減少。
インプレゾンビの実際の収益
いくつかの情報源から、インプレゾンビの収益は以下の通り推定されます:
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一般的な推定: インプレゾンビが一日中活動した場合、月収は約1万円程度とされています。これは、大量のインプレッション(数百万~数千万)を稼いでも、CPMが低く、エンゲージメントの質が悪いためです。
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地域差の影響: パキスタンやナイジェリアなど、平均年収が低い国(例:パキスタンの平均年収約6万円)では、月1万円でも相対的に魅力的な収入となるため、インプレゾンビ行為が特に多いと報告されています。
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具体例: 著名なアカウント(例:フォロワー240万のひろゆき氏)は月15万円程度の収益を報告していますが、インプレゾンビはフォロワー数やエンゲージメントが少ないため、これに遠く及ばない。別の例では、6.5億インプレッションで約96万円(CPM約0.0015ドル)を得たケースがありますが、インプレゾンビの投稿は質が低く、同等の収益は期待しにくい。
2025年現在の状況
2024年10月のプログラム変更により、リプライ欄での広告収益が対象外となったことで、インプレゾンビの活動は大幅に減少しました。2024年8月をピークに、2024年12月には「インプレゾンビ」という言葉を含む投稿が92%減少したと報告されています。この変更により、インプレゾンビの収益モデルはほぼ崩壊し、多くが「自然消滅」したとされています。現在も活動を続ける一部のアカウントは、変更を認識していないか、自動化されたボットの可能性が高い。
なぜ稼げていないのか?
インプレゾンビの収益が低い理由は以下の通りです:
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低品質なエンゲージメント: 無意味なリプライやコピー投稿は、プレミアムユーザーの関与を得にくく、収益性が低い。
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コスト: Xプレミアム加入費用(月約8~16ドル、約1160~2320円)がかかり、収益がこれを下回る場合も多い。
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競争と飽和: インプレゾンビの増加により、注目投稿のリプライ欄が混雑し、個々のインプレッションが分散する。
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プログラム変更: リプライ収益の無効化により、従来の手法がほぼ無意味に。
結論
インプレゾンビの収益は、2023~2024年初頭では月1万円程度が一般的でしたが、2024年11月のプログラム変更以降、収益機会が大幅に減少し、現在はほとんど稼げていないと考えられます。パキスタンなどの低所得国では依然として魅力的な副収入だった時期もありましたが、日本のような高所得国ではコスト(時間・サブスク費用)に見合わないとされ、「コスパが悪い」と評されています。一部のインプレゾンビがインフルエンサーへと転身し、コンテンツの質を上げて収益を増やした例もありますが、大多数は収益化に失敗しているのが実情です。
Xを利用するユーザーとしては、インプレゾンビの減少によりプラットフォームの利便性が向上した一方、収益を目指すなら高品質なコンテンツ作成やエンゲージメント戦略が重要です。